【2021】学生のうちに読むべきおすすめ小説を紹介

学生のコト

読書好きが今まで読んだ本の中で、読みやすさ・面白さ・読後感など様々な観点から総合的に見て「この本はぜひ多くの人に読んでほしい!」と思った小説をジャンル問わず紹介していきます。

個人的な評価ではありますがこの中からあなたのお気に入りの本がきっと見つかるはず。本記事があなたの本選びの要素の1つになれば幸いです。

「なぜなら雨が降ったから」|森川智喜

超雨女体質である探偵・揺木茶々子が出会う五つの事件を描く短編集。古式ゆかしきホームズ流の推理を操る探偵役で、その論理の手掛かりをすべて「雨」に絡めている作品。

彼女が探偵活動に繰り出すと必ず雨が降るという設定であり、全ての事件に雨がかかわる謎解きになってくる。探偵の決め台詞「なぜなら雨が降ったから」。大学生になった主人公である野崎が同じマンションに住む探偵をしている揺木と共に謎を解くと言った話なので学生の方にもはらりと読める。

制約の下で遊ぶ楽しさがありつつ、軽い文体でさらりと楽しめる。同作者の作品ではおとなしい方なので、刺激が強い探偵役を求める人には三途川理もまたおすすめかもしれない。

「植物図鑑」|有川 浩

家の前で倒れていた、家事が万能で重度の植物オタクの樹を、とある理由から拾ったさやか。名前しか知らされないまま、さやかと樹の一風変わった同居生活が始まる。

2人は週末になると樹の趣味の野草採取に出かけ、採った野草を使った料理を樹が作るというなんともほのぼのした甘い恋模様が描かれている。普段何気なく歩いている道に咲く草花に目を向けてみたくなる作品。

タイトル『植物図鑑』の意味はそのまんまだったのかと思わせる。イツキの植物指南で充実した生活となっていくさやかもかわいい。ど直球のラブコメでもあり野草と料理というのが飽きさせない。

また、樹が作中で作る野草を使った料理のレシピが巻末についているので気になる方は作ってみるのもあり。

「夜は短し歩けよ乙女」|森見登美彦

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求める。けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかりだった。

そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々。

大学生の「先輩」が好きになった後輩「黒髪の乙女」とお近づきになろうと、偶然を装って出会いを演出するという物語。先輩の必死さとそれに気づかず、マイペースで我が道を行く後輩の姿がおもしろくページをめくる手が止まらない

2人が出会うまでに毎回変わった事件に巻き込まれ、その事件がまた馬鹿らしくて笑ってしまう。京都が舞台で実在する地名が出てくるため、知っている人はより楽しめる作品。

星野源さんが声優で映画化され話題になった小説でもある。主人公の腐れ大学生感、黒髪の乙女の後輩、小津、樋口、羽貫などスタメンがいつものごとく京都を舞台に暴れ回る。

巻末にある「3月のライオン」で有名な羽海野チカさんのイラストも必見。

「四畳半神話大系」|森見登美彦

主人公は冴えない大学3回生。バラ色のキャンパスライフを想像していたのに、現実はほど遠い。悪友の小津には振り回され、謎の自由人・樋口師匠には無理な要求をされ、孤高の乙女・明石さんとは、なかなかお近づきになれない。

いっそのこと、ぴかぴかの1回生に戻って大学生活をやり直したい。さ迷い込んだ4つの並行世界で繰り広げられる、滅法おかしくて、ちょっぴりほろ苦い青春ストーリー。

4つの短編小説が1冊になった作品。 第1章では主人公の人間味に対してちょっと引いてしまった。だが第4章の半ばあたりで気づき始め、第1~3章では「マジでなんなんだコイツ」と思っていた「小津」。第4章までくるとさすがに好きになってしまう。

八十日間四畳半生活を脱出した主人公が何気ない日常風景に歓喜の雄叫びを上げる姿が印象的。

「何者」|朝井リョウ

直木賞受賞作で2016年には映画化された作品。ふとしたことから5人の大学生が就活対策として集まることになる。初めは互いに情報を交換し、励まし支え合っていた5人だった、SNSや面接などで漏れる本音から、5人の関係は少しずつ変わっていく。

現代のSNSや就活をテーマであり、まさに自分のことを言われているようなグサッとくるセリフもあるはず。5人の言葉それぞれに何か気づかされるようで、読み終えたとき自分の考え方が少し変わるだろう。

これから就活を控える大学生にこそ読んでほしい小説。

就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの名刺。自分を生き抜くために必要なことは、何なのか。この世界を組み変える力は、どこから生まれ来るのか。影を宿しながら光に向いて進む、就活大学生の自意識をリアルにあぶりだす、書下ろし長編小説。

「島はぼくらと」|辻村 深月

島には、様々な人が様々な思いを抱えて登場する。昔から島に住む住人たちの、温かい人付き合いや醜い確執、新たに島を訪れる人々との交流などが、高校生たちの視点から丁寧に綴られている作品。

医療や自治体についてなど、小さい島ならではの問題についても触れられ、そんな島の様子を見ながら、真っ直ぐに成長していく4人の姿は、とても眩しく魅力的だった。小さな日常から、少しの冒険。そして、卒業後の未来等。優しい気持ちにしてくれる作品。特にラストシーンはとても嬉しい気持ちになる。

「ゴールデンスランバー」|伊坂 幸太郎

描かれる世界観には、このような事件が実際にあった話ではと錯覚してしまうほどの圧倒的なリアリティー感。最後まで展開の読めないスリリングな様相にハラハラするのは当然。技術を駆使した監視社会や、報道の影響力の大きさには、薄ら寒くなるような怖さを感じ、得体の知れない巨大な陰謀から必死に逃げ続ける主人公を応援せずにはいられなかった。

命がけの逃亡劇の合間には、大学時代の友人や恋人と過ごした日々の回想も描かれ、登場人物たちの魅力的な姿が印象深く心に残る。緊張感やスピード感を堪能できるだけでなく、作品全体に漂う独特の爽やかさにも惹きつけられる。伏線は鮮やかに回収され、そのテンポの良さは折り紙付き。

人間の最大の武器は習慣と信頼。首相暗殺の犯人に仕立てられ、絶体絶命の詰んだ状況から、あきらめずに生きる道を選び続けられたのは、この一言につきる。大学時代の意味のなさそうな会話、ここまでの人生での日々のやりとりが、最後の最後に支えてくれた。

「劇場」|又吉直樹

演劇を通して世界に立ち向かう永田と、その恋人の沙希。しかし、永田が立ち上げた劇団はうまくいかず、うまくいかなければいかないほど永田は演劇にのめりこみ、知らず知らずのうちに沙希に負担をかけてしまう…。

又吉直樹さんが書く、初めての恋愛小説。

帯の「一番会いたい人に会いに行く。こんな当たり前のことが、なんでできへんかったんやろな。」といいう文章に惹かれる。

芸術と生活、変化と不変、その合間を行き来して苦しむ主人公。である永田。考えすぎて自我が肥大し世界との境界が曖昧になり取り戻したと思ったら手放したり、情けなくてしょうもないが永田という男は優しいのだ。三鷹という場所設定、芸術に引き摺り回されるどうしようもない男という主人公像には太宰へのリスペクトを感じた作品だった。

「マスカレード・ホテル」|東野圭吾

部隊は一流シティ・ホテル「ホテル・コルシア東京」。フロントクラークで働く山岸尚美はある日「連続殺人事件の次の犯行現場として予測されるのがこのホテルである」という情報を告げられる。

次々と現れる“怪しい”宿泊客たち。潜入捜査として協力してくれる警部補・新田と一緒に事件を解決していくが。

ミステリーの要素だけでなく、山岸と新田のやりとりにコメディ要素がある。

プロ意識の高い尚美と新田の活躍に心踊るものだった。大学入試で御守りを忘れた際のホテルの対応と、その後お礼を述べた際の藤木の発言である「次に上京される際も、ぜひ当ホテルをご利用下さいますようお願い申し上げます」と頭を下げた後に「もちろんそれがご入学のための上京であれば、私共といたしましても、この上なく嬉しいのですが」の発言に尚美が「魔法のようだ」とか「話しているだけで幸せな気分になっていく」という感想で記されている。

読者にとってもこの作者の文章力には感服するしかない、魔法のような作品だと感じてしまう。

「ノルウェイの森」|村上春樹

『死は生の対極としてではなく、その一部として存在している。』

直子の療養施設からの手紙で「私たちがここにいるのはその歪みを矯正するためではなく、その歪みに馴れるれるためなのだといいます。」と医者に言われたことを書いた文章。他にも「みんな不完全だということを知っているから、お互いを助けようとするの。」とレイコさんが言った言葉。どれも遠回しではあるが極上とも呼べる比喩表現。

主人公の周りには緑と直子など対極的に見える人物が数多く登場するように思えたけれど、きっとそうではないんだろうと読み終えて感じる。

「すべてがFになる」|森博嗣

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウエディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生・西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人に挑む。

ゴリゴリの理系ミステリだった。正直この人達は何の話をしているんだと思う所もたくさんあると思う。全体的な文章や展開は分かりやすいためサクサク読めるが出てくる人ほとんど全員が天才なので会話の節々が理解できないが「天才」ってこんな頭しているんだろうなと感じた。

今回の事件は、また天才だったからこそ成立したと言えると思える。 15歳になったら、親を殺しなさいと我が子に教えその計画を実現させるために逆算して行動していた真賀田四季のその発想に最後まで圧倒される。普通の人では絶対に思いつかないような発想。

「ドリアン・グレイの肖像」|オスカー・ワイルド

当時16歳の美少年ドリアンは、画家のバジルの依頼により、彼のアトリエで肖像画のモデルをしていた。その時ドリアンはバジルの友人で快楽主義者のヘンリー卿と出会い、彼の話に感化される。それ以降、快楽主義を実践し、堕落と悪行の人生を送る物語。

リアンは内なる魂の醜さを肖像に移すことで、純粋さと美しさを保つつもりだった。またヘンリー卿の影響で美しさとは刹那的快楽的なものであるうえに、更には人道上の倫理観さえも美しさで以て判断してしまっていた。

これらが重なり彼を最後のシーンに追いやったんだと思う。自覚のない醜さが明確に具象化される事と心の平穏と新しい人生のためにあっさりその醜さを切り捨てようとすること。

『罰せられることに浄化がある』。彼が本当に善人になろうとしたなら、つらいだろうが肖像をそのための罰として背負っていくべきだった。

「medium霊媒探偵城塚翡翠」|相沢沙呼

推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、心に傷を負った女性、城塚翡翠と出逢う。

彼女は霊媒であり、死者の言葉を伝えることができる。しかし、そこに証拠能力はなく、香月は霊視と論理の力を組み合わせながら、事件に立ち向かわなくてはならない。

一方、巷では姿なき連続殺人鬼が人々を脅かしていた。一切の証拠を残さない殺人鬼を追い詰めることができるとすれば、それは翡翠の力のみ。だが、殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫っていた。

霊媒師の少女とともにミステリ作家が殺人事件の謎を紐解く超常ミステリーという題目だと思っていたが物語でもミステリとしても魅力的かつ構成が上手い作品。

物語のどんでん返しに当たる部分は読み進めていくうちに想像がつく展開だが、本作に含められたすべての事件にしっかりと触れた上で物語が表情を変える様は非常に丁寧かつ作り込まれている。

最後の最後に上手いこと伏線を回収している。エピローグでは、翡翠の人間らしさも感じられ、事件解決時の豹変ぶりに対するフォローになっていた。

「星の王子さま」|サン=テグジュペリ

砂漠に飛行機で不時着した「僕」が出会った男の子。それは、小さな小さな自分の星を後にして、いくつもの星をめぐってから七番目の星・地球にたどり着いた王子さまだった。

『いちばんたいせつなことは、目に見えない』も読者の状況や考え方によって受け止め方は様々だと思った。大人たちのことを理解できなかった頃はまだちゃんとこどもだったなと思うと同時に、自分も大人のひとりになってしまっていたとはっとさせられる作品。

バラのために星を去った王子はバラのために星へ帰り、パイロットとも別れる。少し前の自分だったら王子が自分よりバラを選んだことに悲しくなってたかもしれないとふと思う。

終わりに

2021年も12月になりもう1カ月で今年は終わる。そういうこともあり今回は小説でおすすめしたい作品を紹介した。あなたの本を選ぶ際のヒントになれば幸いである。

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