【菌類が世界を救う】キノコ・藻類の研究用参考書|2022.03.23

Life-column

菌類が世界を救う ; キノコ・カビ・酵母たちの驚異の能力』を2022年1月22日に発売された。建築やコンピュータをつくる、猛毒や放射線を食べる、地球全体の気候を変える、

宇宙空間でも生き延びる「生命」の常識が覆される1冊。

「あなたがこの文を読むあいだにも、菌類は一〇億年以上そうしてきたように生命のありようを変えている。岩石を食べ、土壌をつくり、汚染物質を消化し、植物に養分を与えたり枯らしたりし、宇宙空間で生き、幻覚を起こし、食物になり、薬効成分を産出し、動物の行動を操り、地球の大気組成を変える。菌類は私たちが生きている地球、そして私たちの思考、感覚、行動を理解するためのカギとなる」

【目次】菌類が世界を救う

ー序章 菌類であることはどんな心地なのか

地球は菌類によってつくられた

人間社会に欠かせない菌類たち

菌類と植物のネットワーク

粘菌や細菌が教えてくれること

菌類が生きる世界を想像する

ー第1章 魅惑

トリュフは語る

化学情報を使った対話

ヒトや動物を引きつける香り

トリュフの香りの秘密

香りの音楽を奏でる

トリュフのパートナー関係

獲物を捕食する菌類

擬人化について

菌類は感知し、解釈する

ー第2章 生きた迷路

迷路の中の菌糸

菌糸体の問題解決能力

なぜ協調行動ができるのか

自分の形を変える能力

爆発的な成長力

菌糸体は身体を獲得した多声音楽である

光も表面も重力も鋭く感知

遠くの情報をどうやって「知る」のか

菌類コンピュータの夢

生命史上初のネットワーク

「新たな迷路への扉」

ー第3章 見知らぬ者どうしの親密さ

地衣類と宇宙生物学

「共生」の発見

地表を覆い、変えていく

生命は遺伝的に閉じた系ではない

地衣類のなかで生命たちは巡りあう

群を抜いて奇妙な極限環境生物

共生の条件

「私たちはみな地衣類」

地衣類だらけになって

ー第4章 菌糸体の心

人の経験を変える化合物

行動を支配するゾンビ菌

変性意識状態をもたらす菌類

宿主支配のさまざまな手法

「アリの服を着た菌類」

神秘的な経験の科学

脳と心の変化

菌類はヒトの心を身にまとうのか

二〇世紀のセンセーション

胞子拡散のために熱心に働かされるヒト

精神と身体の限界を超える

ー第5章 根ができる前

植物の陸上進出は菌類のおかげ

根と菌糸の親密な交わり

根は菌類のあとに生まれた

寄生ではなく相利共生

菌根菌が地球の気候を変える

菌根菌が植物の味わいを変える

植物と菌類の「為替レート」

菌根研究では何が問題になるのか

生命は「巻き込む」

農業と菌根共生

植物への認識を改める

ー第6章 ウッド・ワイド・ウェブ

共有菌根ネットワークの世界

植物間を直接結ぶ菌類経路

ネットワーク・サイエンスの時代

菌従属栄養植物の生活

植物はなぜ菌類に利益を与えるのか

菌類中心の視点へ

共有菌根ネットワークは必ずしも利益をもたらすわけではない

多くの問いを投げかける実験

誰が利益を得ているか

ネットワークのスケールフリー性

あるがままに見ることはできるか

ー第7章 ラディカル菌類学

厄災を生き延びる

菌類が食べなかったものの歴史

草の根からの菌類学

ゴミを宝に変える

環境を除染する

実験室がなくても多くを成し遂げられる

菌類を育てるシロアリ

新素材として利用する

さらなるアイデアへ

新しくかつ古い解決法

ー第8章 菌類を理解する

酵母と人類

人間の文化の目に見えぬ参加者

「菌類好き」の文化、「菌類嫌い」の文化

共生関係の議論の政治色

菌類学者は菌類らしく振る舞う

熟れた果実からバイオ燃料まで

「ニュートンのリンゴ」の物語

学んだことと感想

「植物に根はない」という本書中の一節に説がある。「植物に根はなかった」のは紛れもない事実であり、植物の祖先は水中で暮していた根なしの藻類。上陸した当初は菌類が根の役割を担っていたという説が有力。その名残(なご)りは今も見られ、90%以上の植物は菌根と呼ばれる共生菌類に、土壌からのリン酸や窒素などの吸収を依存している。

キノコ・菌類は、食物としてだけでなく、様々な生命の再生や維持、アルツハイマーやがんなどの治療、環境汚染の浄化にまで役立つことから、地球上の様々な問題へのきのこの応用が期待されている。一般的にキノコと言えば幻覚作用をもたらす方でどうしても考えがち。人間の命を救うほどの力も持っていると言われる、キノコ・菌類の可能性を秘めていると感じる。偉大で神秘的なキノコの力を知ることで、鑑賞後には誰もが未来への希望を感じる。

また、キノコは『分解する力』がある。自然界においては、枯れた葉や木、動物の死骸など、いらなくなったものをすべて分解してくれるまさにキノコは命の終わりと始まりを司っている生き物。中には油を分解する種類もあり、原油流出事故の型付けにも使われたりするぐらい。

風の谷のナウシカの設定にも菌類が

「火の7日間」と呼ばれる戦争によって巨大産業文明が崩壊してから1000年。錆とセラミック片に覆われた大地に、有毒の瘴気を撒き散らし巨大な蟲達が棲む”腐海”という菌類の森が広がり、衰退した人間の生存を脅かしていた。

その腐海のほとりに、海から吹く風によって腐海の瘴気から守られている人口500人程の辺境の小国・風の谷があった。族長・ジルの娘であるナウシカは、腐海を散策中に王蟲に追われたユパを助ける。あとは省略。

菌と鉄|アクションキノコファンタジー

漫画『菌と鉄(FUNGUS AND IRON)』という漫画もあった。

あらすじとしては、人類はキノコに支配されていた。脳に寄生することで自由を奪い、思考を奪い、菌類は徹底した管理社会を築き上げた。しかし、ここにイレギュラーが存在する。最強の兵士・ダンテは、ひとりの少女との出会いをきっかけに、この世界の理を覆す決意をした。

本作の著者は「支配する世界という設定は、規模は小さくても現実にも存在するもの」と考えており、それが読者に伝わるよう頑張って描いているという。菌類の可能性と言うよりは、アクション漫画でもあるが、ドキュメンタリーに近い作品。設定が好きな漫画。

終わりに

人類の管理社会を築いている世界政府。数百年かけて人類を滅亡させることを計画しているという『菌と鉄』。植物たちは地上に生えているものではない。大地に偉大さを知ってしまったがゆえにワンピースの空島・スカイピアの住民たちが土(地面)を「大地(ヴァース)」と呼び、永遠の憧れの対象になっていることがよく分かる。

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