【人形の国1巻】ネタバレ感想|APOSIMZ/弐瓶勉

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人形の国(にんぎょうのくに)』は、弐瓶勉による日本のSFアクション漫画。英題は「APOSIMZ」。話数カウントは「第○話」(一桁話は「第0○話」)。

直径12万キロメートルの人工天体アポシムズの荒廃した地表で人々は暮らしている。アポシムズには超構造体殻に覆われた地底空間が存在し、50世紀前に地底との戦争に敗れた地表人はアポシムズでの正当な居住権を失ったまま、危険な自動機械が徘徊し、人間が機械化してしまう感染病さえ蔓延する極寒の地表に捨て置かれた。

白菱の梁のエスローは地底からの使者タイターニアと出会い、正規人形へと生まれ変わった。そして、故郷を滅ぼした上に今なお周辺民族を脅かし続けるリベドア帝国の皇帝スオウニチコを打倒するために旅立つ。勉(つとむ)さんは『ABARA(アバラ)』『BIOMEGA(バイオメガ)』『大雪海のカイナ』などの作品も描いている。

【人形の国】1巻ネタバレ

人形の国1巻あらすじ

アポシムズはそのほとんどが地底空間でできており、50世紀前に地底との戦争に敗れた人々は、極寒の地表での暮らしを強いられた。徐々に人形のようになってしまう人形病という病気が蔓延し、遺跡層と呼ばれるエリアには攻撃的な自動機械が生息するような過酷な環境で、人々はそれでも生き延びていた。

ある日、遺跡層に戦闘訓練に行っていたエスローたちは、リベドア帝国の兵士に襲われている少女を助けます。少女・タイターニアから託されたのは7つの弾丸とコード。しかし、これがきっかけにエスローたちが暮らす町はリベドアに襲われ壊滅。エスローは少女の持っていたコードを使って正規人形と呼ばれる状態になり、タイターニアと共に逃走を開始した。

人形病

人間の肉体が徐々に機械へと置き換わって人形化して行く病気。コードの開発過程で生じた副産物。進行すると自我を失い、最終的には汚染物質を放出するが、個人差もあって完全に人形化しないまま一生を終える場合もある。人形病患者は迫害の対象にされることが多く、町によっては隔離所に閉じ込めたり奴隷化したりする。

正規人形

コードに適合した人間がなれる状態で、正規人形になれる人のことは転生者と呼ばれる。

素体(骨格)に胞衣を纏った身体構造をしており、普段は人間の姿形にしているが、酸素マスクや耐寒装備が不要になる為、偽装しなければ異様は一目瞭然である。鎧化(がいか)して胞衣を装甲状態に作り変えることで個体毎の特殊能力を発揮する。腕だけなど部分的な鎧化で駆使する上級者がいる一方で何も持たない者も多く、これは使用コードのレベルに依存する。鎧化が解除される活動限界までの時間や密閉度などが表示される。

また、正規人形になった者は主に帝国で転生者と呼ばれる。ヘイグス粒子の残存量が尽きると胞衣が無くなり、素体(骨格)が剥き出しになる。脳に重大な損傷を受けると素体の再生不能に陥って死亡する。他の正規人形から胞衣(ヘイグス粒子)を奪って吸収することで胞衣容量を拡張し、自身を強化できる。ただ、個体差もあってケーシャなどは容量値3177, ワサブの20倍で早くも上限に達したという。尚、エナ容量が数値で示されたのはこの時限りである。

アポシムズ(APOSIMZ)

物語の舞台である人工天体。直径12万Km、形状不明。それ自体が人類を永遠に存続させる為の巨大な装置。地表、遺跡層、中央制御層からなり、地表と遺跡層は極寒で大気が薄く、人間は耐寒装備と酸素ボンベ付きマスク無しでは出歩けない。生活空間では、今なお機能し続けている古代都市基盤の配管群や遺跡装置の排熱が命綱である。無数の危険な野生自動機械が徘徊しているが、食用や生活物資になるものも多い。

中央制御層(ちゅうおうせいぎょそう)

遺跡層最下にある超構造体殻に覆われた地底空間であり、天体の大半を占める。アポシムズの維持を司るシステムが存在し、人口が厳格に管理されている。イルフ・ニクなど地表の人々に語り継がれる「地底世界」とは、AI・タイターニア曰く「人工現実空間」とのこと。

歴史的に地表から繰り返し戦争を仕掛けられており、リベドア帝国もその思想に倣って敵対視している。

胞衣(エナ)

正規人形がヘイグス粒子によって生み出し、イメージ次第で何にでも変化する万能物質。正規人形が素体(骨格)に纏わせる人間当時の姿や鎧化形態は胞衣に設定済みなので無意識に形成されるが、それ以外の衣服・装備品など新規形状の作成や変装をするには多少の練度が要る。ヘイグス粒子の受け渡しにも使われる。

【人形の国】キャラクターまとめ

エスロー

本作の主人公。白菱の梁で生まれ育ったブロンド髪の青年、のち正規人形。EBTGと呼ばれる射出系の特殊能力を持つ。鎧化形態の色は赤に白のマーキング。AMB装填時には左腕部に紋章が浮かび上がる。欠損した脚部や盾を高速で成形するなど、胞衣(エナ)で新規形状を造ることが得意。コードとの適合率が53%と低かった影響で通常の正規人形があまり必要としない食事や睡眠をよく取る。また、人間形態でも右目が人形のままである。一般人に変装する際は短髪になる。

白菱の梁では教育係を担当。子供達を連れて遺跡層での食料採取の帰り際にリベドア兵に追われるタイターニアと遭遇し、助けに飛び出したエオとビコを守るために兵士を射殺してしまう。AMBと赤いコードを託して小さな自動機械に姿を変えたタイターニアを城へ持ち帰る。

白菱の梁の長で正規人形のゼゾは帝国の報復を回避すべく城を捨てる決断をする。出立を控えた明朝、帝国の転生者イーユ率いる部隊に襲撃され、仲間は捕まった数名以外全滅、ゼゾも串刺しにされる。イーユの狙撃に挑むも返り討ちに遭った死の間際、タイターニアの申し出で正規人形に転換されて命を繋ぐ。何とか鎧化してイーユに善戦するが、60秒で活動限界を迎えて地下遺跡層へと落下する。

タイターニアの地道な介抱によって90日後に目覚め、共に皇帝スオウニチコと戦うことを請われる。白菱の梁に戻り、再生不能となったゼゾに自らの銃で止めを刺し、仲間達の亡骸を埋葬する。そしてリベドア帝国への復讐を決意し、タイターニアの願いに応じる。

タイターニア

エスローを正規人形に転換した折りたたみ式の自動機械。中央制御層(地底世界)の使者。ゴシック風の黒衣に白髪ツインテール、赤い瞳の少女人形形態が本来の姿だが、技術流出防止機能によって1日に使えるへイグス粒子が僅かに制限されているため、通常は尻尾の生えた4脚の小さな自動機械の姿をしている。毎日零時にヘイグス粒子使用量が更新されるので、何事もなかった日は直前に人形形態になって無駄遣いする習慣がある。地底の危険となる情報も制限されており、特に重要なことほど予備知識はないが、積年に培った知見はある。

女性語でよく喋り、調理された食事に目がない。変装時は自動機械の姿に全身から毛を生やす。ムグが仲間に加わった際、ワサブからエスローのペットと思われていた事が発覚。

リベドア帝国皇帝の野望である中央制御層への侵入を防ぐために何百年も地表で活動しており、本編の約1000年前を描いた読み切り版『人形の国』では、帝国の建国前から地表を監視していたと見られる。

リベドア帝国からAMBを奪い、軍の小空機に追われているところをエスロー達に助けられた事で白菱の梁に滅亡を招き、結果としてエスローという心強い仲間を得ることになる。

触れた相手の心を読む能力を持ち、人形形態なら巨大な機械株に同調して周辺一帯の様子を空間に映像出力できる。また、離れた場所にエネルギー体を出現させてコンタクトを取るなども可能。戦闘では主にエスローやケーシャの視覚に人形姿でワイプ表示して情報提供を行い、エスローには忠告もするが大抵無視される。絶体絶命の状況で人形形態になり、手のひらから生成した帯状の武器で拘束や斬撃、ゲル状の幕を展開して防御など一回の技で活動限界を迎える。

基本的に個別の人格と自由意志を与えられたスタンドアロンとして機能しているが、アポシムズの管理AI・タイターニアの実体アバターでもある為、稀に尊大な口調の別人格が割り込んで通常よりも上位の権限を行使するような言動を見せる。

ケーシャ

地底信仰国イルフ・ニクの姫であり、正規人形の茶髪の少女。鎧化形態の色は白に赤のサイドライン。伸縮自在の棒と電気を操る特殊能力を持つ。一般人に変装する際は長髪になる。

人形病患者に擬態してエスロー達がリベドア帝国と戦う様子を窺っていたが、双子の下級転生者エイル・エイムの卑怯な戦いぶりを見て助太刀する。信仰対象でもあり、帝国と戦うタイターニアに協力するためにエスローと行動を共にする。出会った当初は高圧的な物言いでエスローと衝突していたが、タイターニアからエスローの過去を教えられて涙し、帝国との戦いを重ねるうちに打ち解けて互いに命を預ける関係を築く。イルフ・ニクの隠れ里に立ち寄った際は裸姿をエスローに見られてしまう。

ウメの地表衝突後、兄カジワンを見捨ててエスローとタイターニアの元へ戻り、頭部だけになったエスローとAMBを超構造体製の部屋に隠してタイターニアと二人だけで帝国の転生者狩りを再開し、奪ったエナをエスローに与えながら復活を待ち望む。

帝国内に侵入して皇帝との決戦に臨む道中、生存者がいそうな町や村を見過ごせずに逐一立ち寄ろうとしてエスローにお願いし、大抵受け入れられてワサブの不満を買う。帝都を間近にしてエスローにイルフ・ニク流の婚約を申し入れ、そうと知らずに答えたエスローの承諾を得る。

【人形の国1巻】読んだ感想

酸素が少なく雪の積もる極寒の地上で生きる人々。食料調達に外に出ていた4人が遭遇したのは敵に追われている女の子「タイターニア」彼女は世界の存亡を揺るがす大事な弾丸を抱えて逃げていた。彼女を助けてしまったばかりに今まで居た場所を敵に攻められる。

白菱の梁のエスローは地底からの使者タイターニアと出会い、正規人形へと生まれ変わったが『仮面ライダー龍騎(MASKED RIDER RYUKI)』を彷彿とさせてしまう。仮面ライダー龍騎では「13人の仮面ライダーが自らの望みを叶えるために最後の1人になるまで殺し合い続ける」という人間同士の競争、それに付随する人間関係の描写を重視した作品になっている。

また、人形の国の本作ではコードと言い人間を正規人形へ作り変えることができる小さな円筒状の装置を用いられる。古代の地表人により、物体の符号化情報を現実空間に実体化する地底の技術を流用して作られ、コードによって人間が正規人形になることを転換、転化、転生などと言っている。

その際に発生する、天に登る光の柱は「転換の光」と呼ばれる。コード適合者が産まれる確率は低く、1万人に1人と言われている。正規人形が持つ特殊能力はコードの種類によって決まっており、使用したコードに刻印されたマークと同じものが鎧化形態の額に象られる。

タイターニアは使用後のコードを失くさないようケーシャに語っていたが、その理由は不明。令和時代の新しい仮面ライダーのようなアクションスタイルの漫画。

設定は1巻だけでは理解できない。『人形の国・単行本1巻』『人形の国・単行本2巻』『人形の国・単行本3巻』までを買ってから何度も再読すると面白いと感じる。高校生から大学生、成人男性の20代から30代の方にはぜひ読んでもらいたい1冊。

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